失業率が17%超えるが物乞いが少ないスペインの不思議

スペインの政治経済を簡単に振り返る

スペインは1939年からフランコによる独裁体制が続いていた。第二次世界大戦では枢軸国寄りではあったものの、枢軸国の敗勢が固まると連合国にすり寄っていった等、ふらふらと中立を維持していた。そのためファシズムが崩壊したドイツやイタリアとは異なり、戦後もそのままの体制であった。フランコ独裁下で経済はぼちぼち伸長していた。
1975年のフランコ死去、1986年のEC加盟を経て、1996年から2007年まではGDP成長率がドイツ・フランス・イタリアを上回っていた!
・・・しかし、これは不動産ブームによるものだった。リーマンショックを引鉄として不動産バブルは崩壊し、2012年10月には失業率が25%を超えた。。。

緊縮財政と労働条件柔軟化

ラテン気質のあるスペイン人と言えど、さすがにこれはやばいと考え、緊縮財政と労働条件柔軟化(解雇が容易に出来る)が進んだ。労働条件の柔軟化というのは経済伸長させる上で必須だなーと思う。解雇し難い国は経済成長し難い。日本も然り。 これはどの組織も、本当に辞めて欲しい人は辞めないという問題があるからと僕は考えている。本当に辞めて欲しい人(問題がある人)は、他の会社に転職することが出来ないケースが多い。。。

前述の施策の効果もあり、スペインにおける四半期GDP成長率は2014年1Qからプラスが続いている。一方で失業率は、2017年6月末でも17.2%と高い。しかし、街中で物乞いの人をあまり見かけない。物乞いはサンフランシスコの方がよっぽど多いと思われる。これは理由があり、スペイン人は家族や親族で助け合って何とかしてしまうらしい。実際にスペイン人に聞いてもそう言っていた。

思ったより頑強なユーロ

僕は2012年頃、ユーロという通貨は構造的な欠陥があるので維持が難しいのでは??と思っていた。構造的な欠陥とは、中央銀行たるECBがユーロの金利を決めてしまうので各国の経済状況が違うにも関わらず、それぞれの国が自由に金利を動かせない、ということである。
今回の旅行でスペインの中央銀行、バンクオブスペインの人にも会ったのだが、主なミッションは金融システムの安定とのこと。ECBとも緊密に連携をとっているらしい。物価は勿論注視しているが、バンクオブスペインでは金利操作出来ないのが難しいところ。繰り返しになるが金利操作はECBの仕事である。
ちなみに日本の中央銀行たる日銀の使命は物価の安定と、金融システムの安定。
ユーロ圏ではスペイン以外にもギリシャやイタリアで危機があったが、2015年3月の量的緩和もありユーロという通貨は持ちこたえた。
意外に頑強だな、、、というのが今僕が考えていること。これはいろいろ理由があるとは思うのだが、やはり過去二回の世界大戦(ヨーロッパは二回とも主戦場)の反省があり、一体でいなければならないという意識が強いからと思われる。ヨーロッパを旅行していると、戦争の爪痕が色々な場所で感じられるし、戦争を繰り返してはいけないと本当に考えているのだな、と強く思わされる。

クロス円よりもドルストレート

上記を受け、僕は引き続きユーロに強気。今年の頭頃から対ドルでのユーロに強気なのは前も書いた通り(「ロンドン観光とブレグジットの影響」)である。ちなみに僕は対円におけるユーロ(EUR/JPY)は気にしていないし、どちらに動くか分からない。日本人は対円ばかり気にしているが、為替相場を見るならば取引フローの多い通貨ペア(基本的には対ドル)を考えるべき。
例えばEUR/JPYというのはEUR/USDとUSD/JPYのかけ算であり、二つの通貨ペアの掛け合わせである。考える要素が二倍に増えてどう動くのか分析するのが難しくなるので、僕は極力取り組まないようにしている。

日常生活

今回、ミュンヘンからマドリッドにフライトで移動したのだが、飛行機で隣に座ったスペイン人は離陸時も着陸時も十字を切っていた。
スペイン人の多くはカトリックだけれども、生活の一部に組み込まれているのであまり深く意識していない。全員が全員日曜に教会に行く訳ではない。
スペイン人に日本では神社ではなく、チャペルで挙式が多いと言ったら驚いていた。日本人は宗教に関しては特殊である。「新興宗教(カルト)というビジネスモデル」参照。
(マドリッド中心部の広場でくつろぐ人)
僕はスペインの風習として、本当にごはんを一日5回も食べるのか?というのが行く前は一番気になっていた。スペイン人曰く、そういう人もいるが大半は5回も食べず、3回で済ませているとのこと。昼をたくさん食べる時もあるし、夜がメインになる時もある。昼食メイン、これはペルーも一緒。

スペイン人は移民にはポジティブ

スペイン人は移民には好意的で、付加価値と賃金の低い単純労働は移民に任せようという考えがある。
(REFUGEES WELCOMEを掲げるマドリッド市役所)
マドリッド市役所は難民歓迎というスローガンを市庁舎に掲げている。これはポーズの部分があり、実際のところ難民を受け入れる余地はあるが、シリアやイラクからは遠いのでそんなに来ないらしい。。難民に人気がある国は経済がしっかりしていて働き口があるドイツ。
スペインの人口構成は日本と似ている。少子高齢化で社会保障どうなるの?という共通の不安がある。一方で先述の様に移民を受け入れようという考えがあるので将来にはポジティブ。日本は外国人がいるとガイジンという扱いになっちゃうから移民受け入れが難しいんでしょ?と言われてしまった、、、日本が魅力あると思われているうちに移民を受け入れ始めないと誰も来なくなってしまうのだが。。移民は犯罪の温床と勘違いされているが、出稼ぎに来た人がバンバン犯罪起こすだろうか??そんなことはないだろう。
次回はスペインでのサッカー観戦と、カタルーニャ独立問題について。
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