ブラジルのスラム、ファベーラを6時間歩いてみた結果・・・

ファベーラの現実を理解したい

ブラジルの治安は悪いと良く言われる。入国して5分でパスポート盗まれたなんて話も聞いたことがある。

特にファベーラと言われるスラム、貧しい人が多く住む地域は、とても危険なので行ってはダメゼッタイ!どこでも歩くはずの地球の歩き方でも歩くな!と書かれている。

しかし僕は、そこで住んでいる人々はどの様な生活をしているのかを現場で理解したかった。
ので、リオデジャネイロにあるブラジル最大のファベーラ、Rocinha(ホッシーニャ)の住人が案内してくれる6時間に及ぶウォーキングツアーに参加した。

猫好きの陽気な男、ゼジーニョ

案内してくれたのはZezinho(ゼジーニョ)。

ホッシーニャと猫を心から愛するDJであり、両足と両腕にホッシーニャのタトゥーを入れている。そして街中で猫を発見する度、にゃお〜みゃお~と呼びかけていた。DJ+タトゥーとのギャップがすごい。しかし猫に「にゃお〜」は僕もやるので気持ちはよく分かる。日頃から語尾に、にゃ、を付けるのも基本である。あずにゃん、あずきゃっと。

ゼジーニョは母親がアメリカ人で、父親はファベーラ出身。ブラジルとアメリカのパスポートを持っていて、アメリカとカナダに住んでいたことも。現在はツアーの収益で無料DJスクールを経営している。

ファベーラはどうやって生まれたのか

ファベーラが出来たのは19世紀の終わり頃だ。政府が1896年の内戦時、元奴隷の黒人達に対し「政府に協力すれば戦争終了後に住むところをきちんとあげますよ。」という話をして協力を仰いだ。

しかし戦後、よく考えたら住まわせる場所が無かったので(おいおい)、、、空いている山沿いでどうよ?というところがファベーラのスタート地点。

当初は黒人がメインであったが、現在は様々な肌の色の人がいる。

ホッシーニャの中では、ボンジ〜ア(ポルトガル語でおはよう)またはホッシーニャ!(地域の名前を叫ぶのが挨拶になっている)の声が引きも切らない。

腕にRocinha(ホッシーニャ)と書いたラバーバンド巻いたり、Tシャツきたり、タトゥー入れたり、色んな人がいる。とにかくこのファベーラ、住んでいる人が自分のコミュニティに誇りを持っている。

ファベーラの中は迷宮

山の斜面に家が密集しているので、全てを歩くのは大変。ツアーでは頂上までミンバンで移動してから下まで歩いて降りた。普通に歩いても片道1時間半はかかる。

ホッシーニャ住民の移動手段は10人位のあいのりミニバンか、市営のバスか、バイクタクシー。バイクタクシーを見たのはタイのバンコク以来だった。

ホッシーニャの中では至るところで一人しか通れない狭い道を発見出来る。下の写真みたいな感じでかなり入り組んでいて、まさに迷宮。一人で行ったら、迷子になること請け合い。

 

細かい道の全貌を把握している人はいない。各戸まで手紙が届かないので、ミニ郵便局みたいな役割を小さなスーパーが担っている。スーパーにお金を払えばスーパーが家まで手紙を届けてくれるし、お金がなければスーパーに取りに行くことも出来る。これはある意味、局留めだ!

電線が無法地帯!

そして下記の様に電線がめちゃくちゃになっているのを何度も見かけた。各戸が勝手に電力を取っているから無法地帯となっている。かつ電力メーターの検針はマグネットでごまかしてる人が多数らしい。。。おいおい。
 

ホッシーニャではシャワーのお湯は出ない。町の中を走る給水車からポンプで水を屋根の上のタンクに送って、貯めて使う。一つの家は大体月に千リットルの水を使用する。

以前はゴミ収集が定期的になされていなかったため、悪臭が大問題だった。現在は市が一日一回片付けているとのこと。

ファベーラの医療システム

ファベーラ含め、ブラジルでは公共医療は無料である。だが想像出来る様に、質は良くない。治療に2週間待ち、なんてざららしい。。。私設病院は有料で、公共に比べると質は高いが値段も高い。
ゼジーニョに、日本では公共医療だろうが何だろうが一律30%負担と言ったら驚いていた。

ホッシーニャを歩いていると、色々な場所でローカルアーティストWark Rocinhaによる天使の落書きを発見出来る。かわいい。

彼のアトリエを訪ねたら、本人に会うことも出来た。とにかくフレンドリー!そんな彼のインスタアカウントはこちら

 

ファベーラと、富める地域とのコントラスト

下記写真はホッシーニャの一番上から撮ったもので、左側がファベーラ、右側が富めるものの地域。
お分かり頂けるだろうか??とにかくコントラストが凄まじい。左側の狭い地域に30万人が密集して住んでいる。

右側の富めるマンションは月に6,000レアル(21万円、1レアル35円で換算、以下同じ)払わないと住めない。プールとテニスコート付である。

一方でホッシーニャの家賃平均は月500レアル(17,500円)である。家賃は他の地域に通勤・移動しやすい、麓に近い方が高い。ちなみに土地は政府所有であり、建物はホッシーニャ在住者所有。家を買う時は、政府の所定の書式に沿って契約を行う。そして契約の時は証人が必要となっている。

ファベーラの生徒多すぎ問題

学校だが、富める地域の近くにあるアメリカンスクールに子供を通わせようとすると、月15万円の学費がかかる!

一方でファベーラの小学校は生徒が多すぎるにも関わらず先生が足りないため、朝と夕方のシフト制。勉強は15歳くらいまで。ホッシーニャで大学に行く人はほぼいない。周りに例がないし、日銭を稼がないといけない。

想像に難くないが、若者の望まない妊娠が非常に問題。以前ボリビアに関するブログ「ボリビアの経済と政治。謎のOSAKA・SENDAI看板」で書いた様に、ボリビアも同じ問題を抱えている。

ホッシーニャの掟

ホッシーニャには鉄の掟がある。以下を守れないものはコミュニティから罰されるのである。その掟とは・・・
「強盗禁止。レイプ禁止。殺人禁止。ドラッグとアルコール中毒者はみんなから見えないところで嗜め。」
である。 後半がすごい。

服装と仕事はどうなっているのか

ホッシーニャに住む人々の服装はイメージと違い、至って普通である。日本人がスラムの住人でイメージする様な、服が無くて上半身はだか・・・という感じでもなく、ぼろぼろの穴だらけの服しか着られない・・・という感じでも全くない。正直、リオデジャネイロやサンパウロのそこらへんを歩いている人と変わらない。

前述の通りゴミ問題が今は解決しており、道も綺麗に保たれている。犬のフンもあまりない。フンに関しては、ボリビアのラパスのほうがひどい。これは住民の意識の問題と思われる。ホッシーニャの中では、自分のコミュニティをきちんと守ろう、綺麗にしようという意識が高い。

ホッシーニャの住民がどうやって稼いでいるのかというと、ホッシーニャ内の商店や、リオデジャネイロの町中における簡単な仕事がメイン。例えばホテルの清掃やレストラン等。こちらは税金が取られるお仕事。一方で取られない(正確にう言うと脱税)のは、町中で水のペットボトルを売るアグア屋や、路上お土産屋等。

普通の人による普通の生活

ブラジルのファベーラやストリートチルドレンを描いた映画として有名な「シティ・オブ・ゴッド」は30%真実、70%ハリウッド=誇張、とゼジーニョは言っていた。ファベーラはとても危険というイメージが強いが、そうではない、中の人は精一杯生きていて、非常に前向きということをゼジーニョは伝えたがっていた。もちろん地元の人と一緒だからと言うのが大きいが、ツアー中に治安が悪いと感じることは無かった。地域の掟もあり、麻薬中毒者やアルコール中毒者が徘徊していることもなかった。

 

当たり前だが、、、普通の人が普通に生活していて、非常に活気があった。

前掲した写真に見られる経済格差はブラジルにおける大きな問題であるが、ファベーラの中、少なくともホッシーニャでは、地域コミュニティを大事にして、生活を良くしていこうという機運が感じられ、少しずつの前進が感じられた。

単独で行くのは道も複雑で危険もあるのでおすすめしないが、ホッシーニャ及びファベーラへの理解を深めるにはこのツアーはかなりおすすめだ。

(ちなみに数ある他のツアーはファベーラ外の人による催行なのでリアルじゃないとのゼジーニョ談)

おまけ。
ブラジル経済について書いた記事はこちら「ブラジル経済。ブラジルは買いか?
ラテンアメリカ(中南米)についてのまとめ記事はこちら「ラテンアメリカまとめ

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コメント

  1. fuji より:

    シティオブゴッド、シティオブメンしか知らないけれど、ファベーラ!!「FAVELA ADVENTURES!」クールだ!!うーらーやーまーすぃ!!
    ・道は本当に映画と一緒だ!
    ・郵便も映画と一緒だ!映画だと子供がラストワンマイルを届けていたけれど
    ・電線も本当に映画と一緒だ!
    ・Lil’zeに会った?会ってないか。というか映画の中で死んだか
    ・鉄の掟、というのはやはり非合法だったりスラムだったりするとコミュニティ維持のために必須なんだろうね、香港の今は無きクーロン城の中もそんな感
    じで治安は良かったとかなんとか。でもその治安維持をしている人間が結局マフィアであったりギャングであったり、彼らが結局ドラッグだったりと独占供給しているんだろうな、というのはどのメディアでも書かれている。実際もそうなんだろう。

    でも思った以上に安全そうだし、何よりファベーラの中に入って無事に出てこれて良かった。

    皆服を着てるんだね。映画を見てからはや10年以上。経済レベルも緩やかに上昇しているからなのかな。「リオデジャネイロの町中における簡単な仕事」というのを読むと、市内の経済活動と少なからずリンクしているように見受けられる。ファベーラ「含めて」公共衣料が無料、というのはすごい。ファベーラの人たちもちゃんと戸籍を持ってたりするのかしら。何というか、完全なブラックゾーンで政府すら介入できない修羅の町、的という先入観ががあったんだけれど、(拙い日本語だが)「普通の」貧民街という印象を受ける。

    0
    • ele より:

      シティオブメンも見たことあるんだね、さすがやな。映画はCidade de Deus(英語ではシティオブゴッド)というファベーラの話だから、Rocinhaとは別の地域なので、映画関係の人は居なかったよ。
      そうそう、今回マフィアの影までは正直感じられなかった。リオ五輪前後の政府による介入で減っているとは言っていたけど、まだいるのだとは思う。
      最近はファベーラの人も大体は戸籍というか納税者番号を持っているとの話だったよ。納税しているかは別にして。
      僕も行く前はマッドマックス的世界を想像していたわ。リオ五輪前だともっと違ったのかも知れないけど、少なくとも今の時点では普通の貧しい人の街っていうのが正しい表現かなと思う。

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