シルクロード。敦煌、ウルムチ

悠久の都、西安から更に西の敦煌へフライトで移動。敦煌は西安(昔の長安)を出発点とするシルクロードの中継地点、オアシスである。

敦煌は17万人と今まで訪れた中国の街では最も人口が少ない。周りはびっくりするくらい砂漠である。正直、世界一周している中で砂っぽい街及び砂漠には疲れていた。エチオピアの街は砂っぽくて風邪引いたし、ヨルダンの砂漠にも辟易した。そして乾燥した気候はお肌に悪い。この世界一周旅行はフライトが多かったこともあり、肌に回復不能かも知れないダメージがあった。これが旅行で一番嫌だった点。

敦煌は莫高窟という砂壁に作られた寺院、及び掘られた洞窟内の仏像と壁画が有名。莫高窟は全部で492の窟があり、一つ一つに番号が付いている。そのうち、17号窟(正確には16号室に入って右側)が、かの有名な敦煌文書が20世紀初頭に見つかったところである。この発見を元に書かれたのが井上靖の敦煌。読むと分かるのだが、切ない。そして敦煌は現在は中国ではあるものの、漢民族以外も多くいたということを実感させられる。実際、幾つかの窟の壁画はウイグル族によって上書きされていた。あとインドっぽい印象の壁画も多い。

小説の中では、貴重な仏典を守るために重要なものを選んで窟に入れた、それが敦煌文書になった、ということになっているのだが、実際は適当に書物を入れた説が有力らしい。
井上靖と言えば小学校のころ、彼の生い立ちを基に書かれた、しろばんばやあすなろ物語を読んだ。中学校の入試で出やすい作家の一人だった。なお一番出題されると言われていたのは吉野源三郎が書いた、君たちはどう生きるかであり、必読書と言われていた。なぜ今頃この本及びマンガが人気出ているのか謎である。君たちはどう生きるかは確かに良い本なのだが、結論が見えている本(絶対最後に君たちはどう生きるか?と書いてあるはず)なので、そういう本は読む価値があまりないと思っている。読んでいるときわくわくしないからだ。といいつつ小学校の時に読んだけど。

敦煌は西側にも見所が点在している。雅丹国家地質公園、前漢時代の長城、玉門関、陽関、西仙仏洞等である。文字通り点在しているので、車を手配せざるを得なかった。600元、約一万円。敦煌から二時間半と一番遠い雅丹は砂漠の中に奇岩がたくさんある場所で、ヨルダンのワディラムをしょぼくした様なところである。すなすなしている。玉門関と陽関は過去の関所なのだが、ほぼ残っていないのでスキップしても大丈夫。
また西仙仏洞は莫高窟をしょぼくしたところ、というのが敦煌人の言い分だったがそんなことはなかった。余り人が居なくて空いているし、洞の中をじっくり見られる。

街の近くには鳴沙山という砂山があり、そこには三日月型の月牙泉というオアシスがある。世界各国どこでも砂山があると、砂滑りのアトラクションが必ず開催されている。ペルーでも、ヨルダンでも同じだった。ちなみに鳥取でも。前述の通り砂に疲れていたので、やらなかったけど。

烏魯木斉(ウルムチ)

その後新疆ウイグル自治区の中心たるウルムチに移動。ここは人口が350万人もいる。内陸だからか、VPNが中々繋がらなかった。さすが世界で最も内陸にある都市・・・!

ウルムチ市内はモスクだらけ。中国語にアラビア語が併記されている。レストランには清真という文字が書いてあることも多く、ハラールを表している。ちなみに中国各都市にはちょいちょいイスラム教徒の区画があり、北京では牛街が該当する。主にウイグル族の居住区画。
ウイグル族は肉の扱いに長けており、羊肉が有名。残念ながら僕は羊肉は苦手。。

ウルムチは北京より大分西にあるにも関わらず同じ時間帯を使っている。ので、陽が中々沈まない。9時半でも大分明るい。ここは中国というより、カザフスタン、キルギス、タジキスタンと接していて、中央アジアなのだ、と感じさせる。

街中の警備はかなり厳しい。ホテルやショッピングモールはおろか、地下道や橋を通る際も荷物と身体検査がある。北京の友達がウルムチは恐いから行きたくないと言っていたことを思い出した。2009年にはデモ隊と治安部隊の大規模な衝突(ウイグル人は200~2,000人亡くなった)があり、現在は中国政府による強制収容所も作られている。ウイグル人と中国政府(漢民族)の衝突は、中国政府としては暴動、テロという見方であるが、ウイグル人にとっては悪しき中国政府による弾圧への抵抗、という見方である。

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コメント

  1. fuji より:

    特にウィグルは立地が悪いよね
    新彊ウイグル自治区は8カ国(インド、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタン、キルギス、カザフスタン、ロシア、モンゴル)と隣接していて、そのうちモンゴル、ロシア、インドを除けば、それらの国はすべてイスラーム民族の国家。周辺がみな「国」を持ってて過激派が騒いでたらウィグル人も独立運動を行うわな。

    一方、西洋メディアが好むフレームワークである「政府当局による少数民族の弾圧」というのは、多分実態の全部を説明できてない。
    新彊ウイグル自治区は名前がアレのせいで誤解されがちだが漢族が人口の半分くらいある。自治区内の漢族からしてみればウィグル人に気を使い過ぎているという形で漢族内でも鬱憤が蓄積されている。ウィグル自治区での暴動もきっかけは自治区内の漢族とウィグル族の暴動だったか漢族のウィグル人に対するヘイト関連のデマだとかそんなやつだったはず。
    加えて前の胡錦涛はチベット自治区党委員会書記を務めたこともあり、少数民族問題を非常に重視していた。結果として政策が少数民族へのアファーマティブアクションに傾き、犯罪に対する刑罰すらも軽減されるもんだから、旧正月前はウィグル・中東系の詐欺・ひったくりに気を付けるようにというのが政府からの通達ではなくて(漢族の)友人から強く言われた。対政府VS少数民族と同等或いは以上に漢族とウィグル族の溝は深い。

    かといってど砂漠の政情不安を誘発する不毛の地なんて切り捨てちゃえばよいじゃんと思いきや、豊富な地下資源があって、石油、天然ガス、大量のウランや石炭の埋蔵量を誇る。中国核開発のメッカといえば新疆ウイグル自治区東部のロプノール砂漠。放射線量えげつなさそう。そして黄砂にどれくらいロプノールの砂が含有されてるかは知らんけれど、、

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    • ele より:

      ウイグル族の言い分も、中国政府の言い分も、漢族の言い分も、それぞれ分かるんだよね。漢族からするとひったくりに気をつけろって目線になるのもよく分かるし。
      後述するけど、チベットも同じことを感じた。
      核実験やってるよね。現地行ったときもそんな話あったわ。

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