スイス観光と文化と物価高過ぎ問題

スイスではじめに訪れたツェルマットは人口5,800人くらいの小さな村である。ここはアルプス山脈のマッターホルン観光における前線基地。あまり登山が好きでなくてもゴンドラや鉄道が充実しているので展望台まで行けてしまう便利なところ
そしてツェルマットでは天候が重要。雨が降っていたり、曇っていたりするとマッターホルンがよく見えない。
 
(良く見えたマッターホルン!)

展望台は大きく分けると三方向にある。そして良かった順に並べると
①コルナーグラート
②シュヴァルツゼー+マッターホルングレイシャーパラダイス
③スネガ+ロートホルン

となる。

コルナーグラートは山岳鉄道でいろいろな景色が見られて楽しい。そして展望台が開けている。
マッターホルングレイシャーパラダイスは最も高いところにあり、雲と同じくらいの目線になる。高山病注意。僕はダイアモックスを飲んだので大丈夫であったが、副作用の頻尿に悩まされた。。。
 
 
頑張れば1日で全部行ける(移動含め3時間*3カ所)ので、天気が良い日に朝から出動するのがおすすめ。
 
ツェルマットへはフライトで行けないため、ジュネーヴから電車で移動。途中のヴィスプで乗り換えるのだが、全部で4時間と結構遠い。ヴィスプからツェルマットへの鉄道もなかなか見晴らしが良い。僕は段々畑や棚田が好きなので、段々畑を見ることが出来てテンション上がった。
 
スイスは山がちで天然資源がない。産業が無かった時代の主な輸出品は傭兵であった。今もバチカンの傭兵はスイス人。
冷戦時代の名残で核シェルター(地下室)が義務づけられていたので、どこも地下室がある。現在は洗濯機置き場だけれども。洗濯機はマンションだと各戸になく、基本的には共用。
 
ツェルマットに滞在した後はチューリッヒに移動。これまた電車で3時間。チューリッヒはコンパクトな街である。人口が40万人だからだろうか、街中に人があまりいない。閑散とした雰囲気はドイツのベルリンに似ている。ベルリンは広大ゆえにあまり街が混んでいない。ちなみにスイス全体の人口は800万人強である。

スイスの文化、産業

スイスは四つの言語圏がある。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語。ドイツ語圏が一番人口が多いのだが、スイスのドイツ語はドイツのドイツ語とはかなり違っている。例えばドイツ語で「こんにちは」はGuten tag(グーテンターク)だが、スイスドイツ語だとGrueezi(グリュエツィ)と全然違う。ドイツ人はスイスドイツ語を聞いても分からないことが結構あるらしい。そしてドイツ人は自分達のドイツ語をHigh Germanと自称していた。スイス人はその言い方はどうかな?と言っていたが。
 
スイスは文化的にもドイツ的な要素が強い。まじめ、実直、というところである。つまり日本とも似ている。そしてスイスはラテンの国、つまりフランスやスペインに比べるとごはんがそれほど美味しくないとされている。これはドイツも同様。美味しくないとは思わないが、無骨である。
それに比べると和食は美味しいとされているので不思議である。国民の性格は似ているのに食の受け止められ方が違う。僕は和食が世界で一番好きという訳ではないし、海外生活が長くても和食が恋しくもならないので何とも言い難いが。
 
ちなみにスイスの若者は最近将来に悲観的でやる気がなくなっているらしい。人口構成が日本に似ていて、寿命長く少子高齢化、年金どうなるのよ大丈夫?というのが大きな悩みとのこと。日本と一緒だ!
 
スイス人は基本はネガティブで、コップに水が半分しか無いと「半分も空いている」という表現になる。一方でポジティブなアメリカ人に言わせると「半分もあるじゃないか!」という笑い話。。
 
スイスの主な産業は金融、ライフサイエンス、機械である。最も重要な貿易相手はドイツ。よって、スイス人はCHF(スイスフラン)/USDよりもEUR(ユーロ)/CHFのレートを重視しているとのこと。
 
スイス中央銀行がEURにスイスフラン売りで無制限介入していたのに急に止めました!と言って市場を震撼させたのが懐かしい。2015年1月の話なので、もう2年半前である。
僕はたまたまどのポジションも持っていてなかったので良かったが、もしCHFを間違った方向で持っていたらとんでもないことになっていた。破綻したFX会社もあったし。それから長い時を経て最近のユーロ高(つまりフラン安)もあり、当時の介入レートEUR/CHF=1.2に近づきつつある。まぁCHFは触らないのが賢明だろう。

プライベートバンキング

スイスといえばプライベートバンキング(PB)も有名である。
僕は古き良きPBの運用、国際分散投資はETFで誰でも出来るので意味があるのかしらと思っていたが、現在のPBはタックスプランニングメインとのこと。運用は一任勘定であるもののそれほど積極的にやらず、とにかく減らさないことが重視されている。プライベートバンカー曰く、運用で稼ぐより税金減らす方がリスク低くリターンが高いとのことであった。確かに。。。
あと仕組み債を売りつける様なこともやっていないとのこと。
 
顧客のDDはやっており、特に金の出所が怪しいとして調べるのはロシア、中国の富豪。特に民営化のタイミングで不透明な取引で儲けた人は顧客として受けていないらしい。そしてUSの顧客の金を預かるとアメリカ政府が開示せよとうるさいので金は預からない。

スイスの物価高過ぎ問題

(チューリッヒの街並)
 
スイスは物価が高い。普通にランチすると25CHF(スイスフラン、円換算だと約2,900円)以上はざらである。そして残念ながら値段に見合った美味しさという訳でもない。
この物価の高さは感覚的には北欧に近い。スイスの大学新卒だと月の給料は5,000ドル、つまり55万円くらいとのこと。日本だと20万円くらいなので、2.5倍から3倍近くの差がある。
ちなみにデンマークのコペンハーゲンだと4,000ドル、44万円くらいであった。そして日本との物価の差もこの倍率に等しい。以前「日本でインフレをどうやって起こすか」で主張した様にインフレには賃金上昇が必要だと改めて思う。

ちなみにスイス人も物価が高いという認識があり、イタリアやドイツにお買い物に良く行く。

そして欧州金融機関の人ですら、なぜ北欧やスイスで物価が高いのか分かっていない。(ちなみに日銀もなぜ日本でインフレが起きないのか分かっていない。。。)北欧は税金高いからという理由をよく聞くが、スイスは低い州が多いので説明がつかない。スイスは自国農業を守るために農産物に対する関税が高いから、という意見もあった。これは確かに一因だろう。

北欧やスイスに多国籍企業がたくさんあるからという説明もあったが、それはどうかなと思う。スウェーデンとスイスはまだしもノルウェーは違うでしょ。そしてドイツ・USはどうなるんだと。
 
繰り返しになるが、僕はやはり賃金が高いからだと思う。恐ろしいことにスイス企業はドイツ人の給料が安い(!)からという理由でドイツから人を受け入れている。今のままだと日本もそうなるかも知れぬ。
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