チリ経済とチリで感じたこと

物価が高い

チリの産業は、鉱業(特に銅)、農業、林業、漁業がメイン。 

そして物価が高い。感覚的には日本と変わらない。チリ人から日本に行きたい、でも物価髙いから行けない・・・という声を聞いたが、あまり変わらないよ!というと驚かれる。日本どんだけ高いイメージなんだ。

OECD中最大とされる経済格差が問題と言われているが、他の南米の国はもっとひどいところも多い。僕は実感として、それほど分からず。電車やバスの中でものを売る人・演奏する人がいるのは先進国以外だと良くある光景。そしてチリではみんな結構お金を払ってる。中国だとみんな無視していた様な。。。キリスト教の影響か?

物事の一貫性

チリでは1970年に世界で初めて、民主的選挙により社会主義政権が成立。これがアジェンデ政権である。この時、リチウムやヨウ素を手がける化学企業たるSQMを初めとして多くの会社が国有化された。
しかしアジェンデ政権はうまくいかず、1973年にピノチェトによるクーデターが起き、新自由主義を採用。・・・うーん南米は軍政多いな。その後軍政は90年まで続いた。
軍政終了後も、経済政策としては引き続き自由主義を貫いた。ここが他の南米諸国と違うところだと思う。政権の方針がころころ変わると、例え変更が正しくてもコストが増大する。

これは、ミクロの経営判断も似ている。例えば僕の投資先ではある国から撤退するか否か?ということが議論になった。メリット・デメリットが勿論ある。でも最終的には撤退することになった。そもそもチャンスがあると思って進出したのだが、撤退するとなったら一気にやるしかなかった。

結局、みんなが頭を捻って悩んだ末に出した答えはA案もB案も正しくて、いかにやりきるかが大事になってくる。やりきって選んだA案を正解にするのである。これが出来なくて、方針がふらふらすると、現場は混乱する。
ちなみにトップは変わった時に自分の方針を打ち出したいので前任者のことを否定するケースが多い。

政治ならば尚更、前任者の否定に走る。なぜなら選挙の時は前任者のやっていることを批判しないと違いが出せないからだ。
いずれアルゼンチンについても書くが、アルゼンチンは体制がふらふらし過ぎて、成長のチャンスを逃していたと思う。

民営化

チリは水道が民営化(当初は完全株式売却、後々はコンセッション(所有は政府、運営権のみ有期売却。日本の空港と似たスキーム))されている。産業革新機構では丸紅と共同で水会社に投資していた。
僕はたまたまチリ南部のプンタアレーナスという町で投資先たるアグアスヌエヴァスの事務所前を通ったのだが、みんなキャッシュで支払をしに来ていた。そういう文化らしい。
国営年金も民営化しており、確定拠出年金になっている・・・!

チリは輸出の40%程度を銅が占める。銅価格と為替の連動性が高い。そして銅価格は中国経済と連動しやすい。中国はベースメタルの中で銅の自給率が一番低く、輸入が多いからである。

政府債務残高GDP比は20%、政策金利は3.5%となかなか健全な状況。

個別企業

個別企業のウェブサイトは大体スペイン語しか書いていないが、Investor relations(投資家向けページ)は英語がある。アニュアルレポート(年次報告書)に株価推移、日々の出来高、DEBT/EBITDA、格付詳細等を載せている。アメリカの投資家を呼び込むためだろうか、思ったよりきちんとしている。
一方で日本の会社のアニュアルレポートでは株価推移をほとんど見たことがない。ウェブサイトの株価も大体はヤフーファイナンスまたは野村證券へのリンクである。企業も、もう少し株価そのものを意識してもいいのでは??

時価総額ランキング上位は以下の業種である。①②は先週金曜日末の時価総額の大きさ順である。ちなみに一位のファラベーラは2.3兆円程度の時価総額。

  • 小売り(①ファラベーラ、⑦センコスド)
  • 銀行(③バンコデルチリ、④サンタンデール、⑧バンコデクレディト)
  • インフラ(⑤エネルシス、⑨ラタム航空、⑩エネルジェネレーションチリ)
  • 林業+石油(②エンプレサス)
  • 化学(⑥SQM)

小売が上位に来ている。一位のファラベーラはチリに飽き足らず、ペルー、アルゼンチン、コロンビア等に進出している。ボリビアは過去の戦争の影響で国交が無いので進出なし。
ECはまだチリでは流行っていない模様。ロジスティクスは貧弱。郵便は信用出来ない。ECそのものは伸び始めているが、実店舗を代替する状況ではない。しかし、いずれはECが勢力を拡大するであろう。Startupの成長を楽しみにしたい。

チリで感じたこと

チリは外人に冷たい??南米の他の国に比べてフレンドリーさが足りないと僕は感じた。一回、オフィス街でランチしようとしてお店に入ったら10分くらい放置。結局違う店に行ったわ。スペイン語が話せないからだと思われる。。。しかし子供には優しいらしい。

また、国全体の雰囲気がニュージーランドに似ている気がした。でもニュージーランドの方が一貫して株価は上昇している。経済が持続して成長するためには外の活力を継続して取り込めるかどうかは重要であり、その点少しどうなの?と感じた。

1+

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コメント

  1. Fuji より:

    情報格差がありすぎて「面白いなぁ、勉強になるなぁ」しか言えない。一読者として情けないです、もっと勉強しないと。「~そして銅価格は中国経済と連動しやすい。中国はベースメタルの中で銅の自給率が一番低く、輸入が多いから~」とか初耳すぎて

    海外の、しかも新興国企業を調べる時はどうやってるの?細かな情報は企業のannual report見ると思うんだけれど、企業の洗い出しとかgoogleセンセイに行くの?それとも使い勝手の良い優良ポータル/調査サイトみたいなのを使ってるの?

    チリかぁ、、ワインとかどうなんだろう。段々品質が上がって値段の割にとても美味しいし日本の輸入量も拡大の一途と聞く。お酒飲めないからピンと来ないけれど

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    • ele より:

      個別企業は、まずは株式市場見て時価総額上位企業はウェブサイト全部見てる。あとアニュアルレポートも読んでるかな。これ結構大変。基本無料情報だけで色々見てるから、
      https://www.investing.com/markets/chile
      が一番見易いかな。世界中の情報あるし。
      下のサイトもUS上場のETF買う際には有益。
      http://www.180.co.jp/world_etf_adr/etf/stock_america.htm#ech
      あとはInteractive Brokers(アメリカのオンライン証券)に口座があるからそこのデータも見てる。
      そして最も重要視してるのは、現地で人に話聞くことと、スーパーやモールや街中で色々見て良く目にするもの(車、銀行、ローカルブランド等)が何か、なぜ流行っているのかを常に考えることかな。

      そしてワインはチリにとって重要な輸出品!そうそう、値段安くておいしいんだよね。日本でも特にカベルネソーヴィニヨンはメジャーだと思うよ。通称チリカベ。

      0
  2. Fuji より:

    あとんす!一次情報とマクロ情報両方見て、再構成して繋げるみたいな感じかな。うん住んでいる中国で当てはめれば納得。webサイトの紹介をありがとう。勉強します。

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    • ele より:

      いえいえ〜。そうだね、そんな感じでこの国と企業どうなるかなーと考えてる!

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