ちょっとまじめなラテンアメリカ、メキシコの観光+経済

麻薬戦争と汚職

今回の世界一周に出る前、訪問する国の中で治安が目に見える形で悪いのはメキシコだと思っていた。何よりも麻薬戦争の影響が大きい。メキシコにはカルテルと言われる組織があり、コロンビア産の麻薬をアメリカに輸出している。カルテル同士の争いも激しいのだが、住民や警官や市政への攻撃も激しい。ひどい例だと、警察署長のなり手がおらず女子大生が手を挙げたものの結局アメリカに亡命せざるを得なくなったり、麻薬撲滅を掲げた市長が就任から24時間以内に殺害されたり、、、ということが挙げられる。どちらも遠い昔の話ではなく、2010年代の出来事である。。。

メキシコシティに来てみるとやばい雰囲気は全く感じられず、麻薬戦争はアメリカとの国境付近が前線なのだと改めて実感させられる。現地のメキシコ人としても、メキシコシティで凶悪な犯罪が起きているという認識はないとのこと。

麻薬は勿論重大な社会問題だが、麻薬に関しては消費地としてのアメリカが原因の部分も大きく、全てメキシコだけで解決出来る話ではない。むしろメキシコ人の問題意識としては、汚職に目が向いている。賄賂がたくさん貰えて儲かるので、政治家と公務員をみんな目指すらしい。 

メキシコではオンライン教育のスタートアップをやっている人にも会った。彼は国連で働いていたがあまりにも官僚的なので辞めたらしい。

ちなみにメキシコ人も最近はタクシーは使っておらず、移動はUBERがメイン。タクシーは料金が定まっていないし、強盗もたまにあるため信頼出来ないとのこと。スペイン発のアプリ、Cabifyも存在はしているのだが、誰も使っていない。ちなみにCabifyは楽天が主要株主。楽天は海外投資はぱっとしないのが多過ぎる。。そろそろ成功例が欲しいところ。

メキシコシティ

メキシコシティは2,000mを超える高地で、空気は薄め。大気汚染がひどい。正直日本に居るとあまり大気汚染は感じないが、中国を筆頭に海外だと何とかしてくれと思うこと多数。メキシコはキューバと前後していたので更に強く感じた。
お昼寝たるシエスタはメキシコシティでは誰も取っていない。お休みは家族と過ごすのが一般的。みんなビーチ大好き。これは他のラテンアメリカも一緒。日本だと海洋国家にも関わらず、休みはすぐビーチという発想はあまりない気がするが。。。

タコスとアステカカレンダー

僕は小学生の時、ドンタコスというタコス(トルティーヤチップス)を模したスナック菓子が大好きであった。塾の帰りに友達と駐車場のはじっこでドンタコスをぽりぽりと食べていた。飴一つのために付近を走り回ったり(一位の人は飴がもらえる)、塾の二階から飛び降りる遊びが流行っていたり、不思議な思い出がたくさんある。
タコスの本場は勿論メキシコであり、サルサソースに浸けて食べる。おいしい!そしてメキシコは物価が高くない。1,000円いかずにおいしいランチが食べられる。2010年代のインフレ率は3〜4%程度で推移しており、インフレ顕著な他のラテンアメリカとの違いが表れている。
 
そして今回、観光としてどうしても行きたかったのが、人類学博物館とテオティワカンのピラミッド。前者はアステカカレンダーが見たかったのである。ちなみにアステカカレンダーは東京書籍の世界史教科書裏表紙であった。なお僕は受験ヲタクではない。
 
 
想像より大きい。そして見るまで気付かなかったが、中心の太陽神は舌をべ〜っと出しており、その舌は黒曜石のナイフを象徴している。
 
テオティワカンのピラミッドはかなりの大きさで、計測方法によるが世界で十番には入る。ちなみにピラミッド型ホテルとして、ラスベガスのルクソールホテルもランクインしている。

メキシコ経済

アメリカとの結びつきが強いため、メキシコ経済はアメリカ経済に左右される面が大きい。車もGM、フォードが多い。

日本の完成車メーカーはアグアスカリエンテス州やグアナフアト州等の北部に集まっている。完成車メーカーが存在すると、その周りに部品メーカーが日本からやって来る。これは中国やタイにおける日本車生産も一緒。メキシコにおいては、完成車は鉄道でアメリカに運んでいる。
なおトラックによるロジスティクス(運送)はメキシコ企業でないといけないとの決まりがある。質は良くない。
 
トランプ大統領就任後は国境の壁問題もあり、どうなのと思われていたが、対USDで為替(メキシコペソ)が下がってメキシコ株にはプラス。更には、トランプも議会があるので無茶は出来ないとの評価で、メキシコ株は大統領選以後ずっと上がっている。株式市場全体のP/E(PER)は20倍を超えており割安とは言えない状況。ただメキシコは先ほど述べた様にインフレが激しすぎず、ワーカーもUSD500/月(約5万円!)程度で雇用出来るので製造地としての魅力は依然として高い。なお、メキシコ人は他のラテンアメリカよりまじめとの自己評価。ちなみに管理職クラスになるとアメリカより少し低いか同程度の賃金。
メキシコペソ安も対内投資を呼び込む上ではプラスである。今の水準だと僕は買えないが、もう少し割安になれば面白い国だと思う。
 
そういえばメキシコと言えばフォーブスの長者番付で数回、一位を獲得したカルロススリムが住む国である。 彼は通信王だが、富豪は土地長者が多いとのこと。
 
 
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