郷愁とデフォルトの国、アルゼンチンのマクロ経済。しかしチャンスあり?

20世紀前半は富裕国だったアルゼンチン

アルゼンチン経済のイメージってなんだろうか?僕としては、頻繁にデフォルトしている不思議な国であった。

しかし、20世紀前半は世界10位以内に入る富裕国だった!

アルゼンチンがスペインから独立したのは1816年。その後19世紀後半より、1千万人を超えるイタリア、スペインを中心とする移民が労働力に。
20世紀前半は肉を輸出することで外貨を稼いでいた。行きは肉を載せた船がヨーロッパに向かい、帰りは移民と建築材料を運んで来た。ブエノスアイレスにパリ風の建築が多いのはその結果。
しかし1929年の世界恐慌後は経済が悪化し、その後は上位に帰り咲かず。

政情不安、ハイパーインフレ

1930年以降の歴史を振り返るとクーデターが多く、政情がとにかく安定していない。その過程で古い建築物は大体は政府か軍の所有、または外資ホテルになってしまった。

第二次世界大戦後も政情は安定せず、経済も中々上向かない。労働者に優しい左派政権か、軍部による支配か。途中では鉄道を管理しきれず、放棄するなんてことも。ブエノスアイレスで放棄されたレールを発見。都市で鉄道が放棄されているのはあまり見たことがない。

1982年に困った当時の軍政は外に目を向けさせるためにイギリス領フォークランド諸島(アルゼンチンではマルビナスと呼ぶ)に侵攻。しかし兵士不足で17歳くらいの若者も大量に動員。勝てるわけない。
そして戦争中はアルゼンチン勝利!という報道ばかり行われていた。実際はずっと負けてた。。。第二次世界大戦中の日本と一緒!というかどこも同じなんだな。
加えて言うと、困ったら外国が悪いんだ!と外に目を向けさせるのも、どこの国も一緒。

その後80年代終わりには一年で5,000%のハイパーインフレを経験。ものの値段が50倍に一年でなってしまう、とはよく意味が分からない。100円だと思っていたチョコレートが5,000円・・・!!

そして2001年にはデフォルト(債務不履行)。その後前回のブログで書いた様にヘッジファンドとの争いがあり、なかなか国債金融市場に復帰出来ず。

15年間閉じた経済だったので、今でもお店にグローバルブランド(例えばマースのスニッカーズや、ダノンのヨーグルト、コルゲートの歯磨き粉等)が少ない。これは中南米では珍しい!
しかしアルゼンチンは牛肉も大豆も小麦もトウモロコシもワインも自国で作れるので、なんとかなってしまう。そして足りないものはメルコスールで一緒のブラジルから輸入。

2015年の政権交代

2015年の大統領選では労働者重視で左派内向きポピュリスト、ペロン党のシオリ氏は僅差で敗北。そして右寄り経済開放路線のマクリ大統領が勝利。
そういえば、ブエノスアイレスの公園でペロン党支持者(ペロニスタ)の酔っ払いに絡まれた。何を言っているのかは分からなかったけど。

インフレは2016年も40%とひどく、あまりものの価格を気にしていないとのこと。なぜなら価格が日々変動しているから。
日本はデフレなんでしょ?なにそれ想像つかない!とアルゼンチン人に言われてしまった。

アルゼンチンでは政府が信用出来ないこと及び税金を逃れるため、ウルグアイに口座を開いて賃金を受け取る人も多い。そして自国通貨たるアルゼンチンペソのことは信用しておらず、貯蓄はUSDで行っているとのこと。

ブラックマーケットでの両替も盛ん。レートは以前は公式レートより大分良かったが、今はそれほど変わらない。どっちかというと小額のマネロンに使われているらしい。
両替専門業者は、路上に立ってスペイン語で両替を意味するcambio(カンビオ)を連呼している。ブエノスアイレスのフロリダ通りというおしゃれな通りを歩いていると、「カンビオ カンビオ カンビオ〜」と叫ぶ声が何度も聞こえてくる。グアヤキルの路上で聞いた水のペットボトル売りによる、「あぐああぐああぐああぐあ〜」(アグアは水のこと)と一緒。

そして日本はなんでも高いと思われているが、ブエノスアイレスと大して物価変わらないのである。
ちなみにアルゼンチンは賃金も高い。二次産業をアルゼンチンでやろうとしても、賃金高く難しい。加えて左派政権の名残で労働組合も強い。一例では、トラック業界は雇用が失われる!と言って鉄道復活を妨害しているとのこと。。。おいおい。

今後の見通し

今年10月の中間選挙でマクリ大統領側(中道右派で経済開放志向)が勝つのか、元の内向きポピュリスト左派が勝つのかが大きな焦点。
僕はどっちに転んでも、労働者保護で極端な内向き志向には戻らないと考えている。以前より今の方がいいのは明白だからだ。僕はこういう状況が好きだ。どっちに転ぼうが株にはプラスと考えている。

投資において一番いいのは、AかBか予測出来なくても、どちらでも勝てる時と僕は思う。
逆にいまいちなのは、AかBか予測出来なくて、Aになると利益が出て、Bになると損失が出そうな時。雇用統計前に為替のポジションがっつり持つ様な取引は僕は苦手である。雇用統計が予想よりいいのか、悪いのかなんて分からないし、それに対する反応も分からないケースが多いからだ。

アルゼンチンは実はエネルギーや鉱物資源もある。シェールガスもあるし、リチウムもある。

そして何より大きいのは、良い時を知っているということ。僕は過去に裕福だった国が復活する可能性は、いい時を知らない国が成長するよりも、高いと思っている。
一番いい例は中国で、歴史上は経済でも文化でも世界のトップに居た時期が多いのにも関わらず近代で出遅れてしまった。20世紀終盤から挽回し、21世紀は中国の世紀になりそうである。

気になる点はやはりラテンのマインド。中国人は商売上手である。東南アジアに行けばすぐ気付くが、どこも中華系(華僑)が経済を支配している。ラテン系はどうなんだろう、、、 商売人になりきれないところがあると感じている。

ラテン系という点は気になるが、①政治が経済に対し良い方向に行っている点、②過去にいい時代があったことを知っている点、③誰もがこの国大丈夫と思っている訳ではない点(高値掴みになりにくい)、を勘案して、投資の対象としては僕はポジティブである。

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