中国の自転車シェアリング

僕は自転車が好きだ。ロードバイクみたいなおしゃれなやつじゃない、電動ママチャリだ。日本だと銀座に住んでいた期間が長かったが、銀座周辺の移動は自転車(出来れば電動)が一番速い。車は混んでいて、到着時間が読めない。

世界一周旅行においては、色んな都市で自転車シェアリングを体験してきた。代表的なのは以前も記事にした「NYの自転車シェアリング」である。ただ、NYの道はぼこぼこしていて走りにくかった。もっと酷かったのはパリで、石畳が多いのでずっとガタガタガタガタ、膝が痛くなってしまった。ので乗るのを止めたね。

中国はドックがない

日本もNYもパリも共通しているのが、自転車はドックに納めないといけなかった点。NYはドックが一杯ということはあまりなかったが、パリはドックが満杯ということが結構あり、たらい回しの刑にちょいちょい遭っていた。

しかし、中国は違う。ドックがないのだ。極端な言い方をすれば放置自転車シェアリングである。これはすごく便利。

日本で自転車に乗っていた時は、最後はお家に帰らなくてはいけなかったので、常に自転車の位置を考えながら行動していた。メトロやJRも絡んで来ると、どうやってお家に帰るかを解くパズルである。

中国自転車シェアリングについては、NY自転車シェアリングの記事に友人のfujiさんがコメントをしてくれた。一年経った今でも基本は状況が変わっておらず、内容が色あせていない。許可をもらったのでここで引用させて頂く。

自転車シェアリングサービス、上海は2016年の春夏位から爆発的に普及した。Mobike(橙)が最初に始めたがOfo(黄)が追随、その他さまざまな色が展開されている。電動自転車(緑)もあるにはあるが橙と黄ほどには普及していない。
中国の自転車シェアリングサービスのすごいところはドックレスの所。何処に乗り捨てても構わない。不良消費者が鍵周りを破壊して団地の中で私物化しているケースも散見されるが、その行為が広がることは無かった。行った先で乗り捨てる方が利便性が高いと気づいたのだろう。
中国の自転車サービスのニーズとしては、ドックレスの利便性の他、ラストワンマイルが長い、という点に尽きると思う。駅から目的地に着くまでに結構な距離を歩かされる。日本に帰って自転車ユーザーをみると、彼らは自転車をスポーツ的な位置づけで乗っている割合が高いように見えるが、中国での自転車需要の多くは移動手段という位置づけで乗っていた。一方、日本と違って(非常に)平らだから、電動自転車でなくても問題が無かった。先ほどの話で、緑が普及しきれない理由は、平らなので電動が無くても大丈夫な事、また電動自転車「のみ」ドックに停めないといけない(深夜に業者がドックに来てバッテリーを取り換える)という点にあると思っていた(ユーザー曰く、あと緑は故障が多いらしい)。
乗り方について、アプリをダウンロードし100元~300元デポジット+利用料金を入金しておいて、利用時に自転車のQRコードを読み取って料金を前金で支払う。1元/30分で課金されるが30分以上乗ったことは1回しかない。自転車は電動ではないものの一台一台にGPSが組み込まれていて、消費者はアプリから最寄りの自転車が何処にあるか調べられる。後で知ったことだが、GPS搭載は共産党政府から指導が入ったらしくて(当初GPS搭載は橙のみだったが黄にも搭載されるようになった)、放置/損壊自転車の回収を企業側にさせるのが目的らしい。
、、、という料金設定だったのだが、橙と黄の競争が激しくなって、黄が週末のみ無料というサービスを始めたところ、今度は橙がランダムに自転車に電子紅袋(お年玉)を付けて、利用時にランダムにキャッシュインするというサービスを始めた。99%が1~2元なのだが、自転車に乗れば乗るほど小銭が増えていく不思議。黄色も電子紅袋開始。
シェア拡大のために血で血を洗う抗争をしているのかと思いきや、VCからアホみたいな巨額の資金を注入されているらしいから大丈夫っぽい。橙は創業二年とかだがすでに中国主要都市への展開の他に海外展開も始めていて、2017年の8月には日本にも進出予定とのこと。橙から日本子会社のGMの話が来たけれどそれはまた別の機会に

うーん分かりやすい!ありがとうfujiさん。

実際に中国の色々な都市で乗った経験を踏まえて幾つか追記したい。まず中国はどこの都市もでかい。地方都市でも500万人を超えるなんてざらである。そうすると、街も広大。なので地下鉄で全てをカバーするのは無理。そして車道は常に混んでいる。つまりバスまたはDidiは時間がかかる。地下鉄に乗った際のラストワンマイルの重要性はすごく良く分かる。

そして道がどの都市も平坦で走りやすい。大体どの街にも自転車専用レーンがある。都市によって違うけれど、北京だと車二台分くらいの横幅のことも。とは言え自転車専用レーンに電動バイクはガンガン入って来る。たまに車も。あと逆走は法律上どうなのか知らないけど、ガンガン来る。てか日本は交通マナーにはっきり言ってうるさ過ぎると思う。もうちょい柔軟な運用はないのか。気を付けていれば事故には遭いにくい。

ビジネスとしての自転車シェアリング

上記コメントで注目すべきは、書き込みが2017年6月17日という点。サービス開始はモバイク(オレンジ)が2016年4月でofo(黄)は同年11月である。合わせて他社も爆発的に参入したものの、2017年6月時点でほぼ勝負は固まっていたということである。スピード速過ぎ!さすが中国である。

自転車シェアリングはシェアリングといいつつ、AirBnBやUberのビジネスとは違う。AirBnBもUberも自社で物件や車を所有している訳ではないからだ。つまり固定資産はほぼない。金を儲けたい個人が固定資産の所有者である。AirBnBもUberも使用料を利用者から徴収し、両社の取り分を差し引いて、金を稼ぎたい個人に渡している。

自転車シェアリングは、個人の自転車を貸し借りしているのではなく、モバイクやofoといった企業が自転車を所有している。つまり設備投資が必要なのだ。これは金銭的にきつい。なので、アホみたいにVCから金を調達する必要がある。

ビジネスモデルとしてはそこまで難解ではないので、新規参入が相次いだ結果、いくつも潰れた。最悪なのがデポジットの持ち逃げである。デポジットは建前上、運転資金に回してませんよということになっている。しかし文字通り自転車操業だと、デポジットも運転資金に使ったあげく倒産である。ユーザーからしてみると、デポジットなのに返って来ない。。。

VCも2016年頃、ビジネスモデル重視のシェアリング戦争(自転車、モバイルバッテリーで顕著だった)に大枚はたいた結果、大損したらしい。その結果、今は自社で技術を持っているスタートアップでないとシードの金が集めにくいとのこと。

そんな中、4月、最大手のモバイクが美団点評(フードデリバリー+飲食店レビュー)によってEV $3.4B(約3,700億円)で買収されることに。かなり経営はきつかったっぽい。まぁ、破滅的ビジネスモデルですな。便利なんだけどね。

そういえばofoってなんでofoなんだろうと思ってたけど、自転車表してるんだね。orzみたい。街中ではofoの方がよく見かけるよ。ofo ofo ofo…

 

2+

いいね! or シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. fuji より:

    ブログデビュー!光栄です!わーい

    美团がモバイクを買収したのか。EV $3.4Bという買収金額に眩暈がする。
    2016年4月にローンチする前の半年くらいはモバイク自転車の開発とパイロットテストを行ったと中の人が言っていた。それでも2015年の4月にはまだシードも無かっただろう。

    わずか3年で$3.4B、、、

    0

    • ele より:

      いえいえ〜こちらこそ色々教えてくれてありがとう!
      2015年1月創業、一年でビジネス準備、その後一年で市場制覇、そして創業から三年で$3.4BのEVってすさまじいよね。Net debtは$700Mで株式価値は$2.7Bだったみたい。

      0