ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は全然違うものだと思っている人もいるかも知れないが、実は根っこは同じところにある。三宗教とも、予言者アブラハムが源流となっている一神教なのだ。その中でも最も古いユダヤ教は長い間迫害されてきた。僕はタンザニアのセレンゲティで会ったユダヤ人家族とエルサレムで再会してユダヤの3500年にも及ぶ歴史を詳しく聞くことが出来た。
まさに聖書(キリスト教でいうところの旧約聖書)の内容そのものである。
アブラハム、イサク、ヤコブ(イスラエル)と繋がるスタート。その後ユダヤ人はエジプトで奴隷となるものの、海を割ったり十戒を授かったりしたことで有名なモーセに導かれエジプトを脱出(エクソダス)。BC995にはダビデがイスラエル王国を建国。その後アッシリアに攻め込まれたり、新バビロニアによりバビロン捕囚が起きたりしたが、BC333にはギリシア支配下に。その後はローマ支配下になった、、、まさに苦難の歴史である。最後はローマに対して反乱を起こすものの敗北し、AD132にはイスラエルという地名は剥奪された。そしてユダヤ人は世界各国に散り散りになった(ディアスポラ)。ローマ帝国はイスラエルの地をパレスチナと呼ぶことに変更。
並行してエルサレムはキリスト教の聖地にもなり、後にイスラム教の聖地にもなった。
そして歴史は流れ第一次世界大戦後、イギリスの有名な三枚舌外交の結果、エルサレムはイギリス統治下に。
一方で18世紀終わり頃からイスラエル(パレスチナ)に戻ろうというシオニズムがユダヤ人の中で盛り上がりはじめていた。
そんな中、ナチスドイツのホロコーストにより約600万人が亡くなってしまい、やはりイスラエルにユダヤ人は集まるべきだとなった。そして建国を宣言したのが1948年。そこから四回の中東戦争を経て、今も近隣の国で国交があるのはエジプトとヨルダンだけである。シリア、レバノンは国境接しているが国交はない。勿論フライトもない。
国内にパレスチナ人(ヨルダン川西岸及び、エジプトに近いガザ地区)との争いを抱えており、イスラエルのユダヤ人は国内で常にプレッシャーを感じている。そのため海外旅行に行く人が多い。行き先はヨーロッパ、US、アフリカがメイン。国交があるエジプト及びヨルダンですらイスラエルのユダヤ人は何が起きるか不安なので、あまり行かないとのこと。
パレスチナ人との関係は昔よりは大分良くなっている。むしろ最大の敵はイラン!イランはイスラエルを心の底から敵視している(とイスラエルのユダヤ人は考えている)。
最近イスラム教シーア派のイランは、サウジアラビア等のスンニ派イスラム教国とも関係は良くない。よって敵の敵は友ということで、イスラエルとしてもサウジアラビアやエジプト等近隣アラブの国と関係を深めようとしている。
移民の国イスラエル
モロッコからクスクスが持ち込まれ、ドイツからスニッツェルが持ち込まれ、イエメンからカレーっぽいスープが持ち込まれ、、、世界中のあらゆる国の影響をイスラエル料理は受けている。
ちなみにイスラエルのユダヤ人で一番多いのはロシア系で約20%。
USのエルサレム首都認定に対する現地ユダヤ人の反応
トランプがテレアビブからエルサレムへの首都認定及び大使館移動にこだわった理由は二つある。一つは自分の言ったことをやりとげる(デリバーする)、もう一つは米国内ユダヤ人支持。
それに対するイスラエルのユダヤ人の反応はどうなのか??数人に聞いてみた。
・ハッピーかといえば別にそうでもない。。
・1948年からエルサレムは首都だから、今更外部の人が何言おうが関係ない
・トランプの支持者集めでしょ
・むしろパレスチナ及びアラブの国々とのいらない摩擦を増やしている!
結構冷めた反応である。イスラエル政府も公式では歓迎しているが本当のところは分からない。そして以上はあくまでユダヤ人の反応であり、パレスチナ人とは話せていないので分からず。。。
エルサレムの中でも、西エルサレムか東エルサレム(三宗教の聖地が多い旧市街)かが問題で、現地では西はイスラエル(ユダヤ)、東はパレスチナだけど議論あるよね、、、っていう区分けになっているらしい。だから西に来る分には大勢に影響なしと。しかしガザ地区のハマースは騒がないといけない立場だから騒いでいる。
ちなみにトランプは西か東かは明言してない。これはわざとだと思われる。西と明言すると、東はパレスチナって認めることになってしまう。極端なユダヤ主義者に配慮している。逆に東に大使館を移すといえば、パレスチナ及び他のアラブ諸国を刺激することになる。
政治の世界ってグレーにした方がいいことが多い。最たるものがイスラエルの核保有。恐らく持ってるんだろうけど、肯定もせず、否定もせず。うーん、もやもやする。
ビジネスだと曖昧にせずに決めきった方がいいケースが大半。ビジネスマンたるトランプの、俺様の言ったことが中々実現しないぞ!というフラストレーションも良く分かる。
ビジネスから政治に転身してうまくいかない人が多いのはこれが原因だろう。逆もしかり。僕は政治家にはならないし、なれない。
ユダヤ人の生活
イスラエルに行く前は厳格なユダヤ教徒しか居ないんじゃ?と思っていたが、そんなことはなかった。全員がコーシャを守ってるわけではなく、豚食べる人もいる。少なくともテレアビブではひと目でユダヤと分かる格好の人は少ない。NYの方が目立っていた。
一方でエルサレムにはユダヤ教の中でも古くからのしきたりを守っている超正当派も多い。黒い帽子、黒いスーツ、白いシャツ、髭が特徴。男性で髪のサイドを伸ばして結っている人も多い。
超正統派の中には、働いていない人もたくさんいる。何をしているのか??ひたすら祈って勉強している。そうすると収入がない、または足りないので、政府からの補助が出ている。よって超正統派ではないユダヤ人からは不満が出ている。一方で世俗化が進むユダヤ教の中でしきたりを頑に守るゲートキーパーとなってくれている、という意見もあった。
ちなみに超正統派は兵役も免除されていたが、2017年から義務となった。
ユダヤ教だと土曜は働いてはいけない安息日であり、金曜夕方からは街は機能停止する。特にエルサレム。テレアビブは普通に活動している。極端なところでは、ホテルですらエレベーターが土曜は各駅停車に。ボタンを押すことも仕事になるため、押さなくて大丈夫というユダヤ安息日仕様。そして日曜日は休日ではない。