悲惨な虐殺を乗り越えIT立国を目指すルワンダ

ルワンダにはタンザニアのサファリを終えたあと、キリマンジャロ空港から移動。ルワンダは不思議な国である。アフリカっぽくない。まず空港に着いた時から違う。誰もがっついてこないのである。他のアフリカの国だと、タクシー?どこ行くの?の大攻勢及び、勝手に荷物を持ち運んでチップを要求する人々であふれている。しかしルワンダではそれが全くなかった。ので、こっちからタクシーどこ?と聞かないといけなかった。

空港からのタクシー運転手もなんだか落ち着いている。アフリカの他の国では今日はどこ行くんだ?俺が安く連れてくぞ?とガンガン聞かれるがそれがない。しゃべる速度もゆっくり、トーンも落ち着いている。

ルワンダで働いている方にNYでお会いして面白そうと思って行ったのだが、僕の中ではルワンダというと虐殺が起きた場所、そしてその後IT立国目指して成長しているらしい、というイメージだった。

なぜ虐殺が起きたのか?

元々14世紀頃から、牧畜民族の少数派ツチ族が農耕民族の多数派フツ族を支配するルワンダ王国があった。その後ヨーロッパによるアフリカ分割の結果、1889年からはドイツ領に。第一次世界大戦後はベルギー領となった。

ベルギーは国を支配する際、少数派のツチを中間支配層とした。この頃からツチとフツの対立は始まっていた。1962年の独立後は反対に多数派のフツが政権を握り、ツチを排除する政策がとられた。1994年にフツのハビャリマナ大統領が暗殺されたこと(犯人はいまだ不明)を受け、フツ政府主導でのツチの虐殺が計画され、実行された。100日間で人口730万人中、100万人が殺害されたと言われている。100万人の中には、ツチのみならずフツの中でツチ虐殺に反対した人々も含まれる。

内戦状態の中で、最終的にツチのカガメ率いるルワンダ愛国戦線が勝利し、新政権が樹立された。

キガリの虐殺記念館に行くと、フツでも殺された人は多かったというのが分かる。ツチを殺すか・殺さないならば反逆者として他のフツに殺されるか、という究極の選択である。インタビュー映像で、フツの幼なじみが私たちツチ一家を殺しに来ました・・と語っているものもあった。恐過ぎる。国家主導による虐殺というのは逃げ場がない。

記念館には、ナチスドイツによるホロコースト、ユーゴ紛争でのいくつかの虐殺、カンボジアのクメールルージュによる虐殺等もジェノサイドの例ととして展示があった。

集団の中においてジェノサイドに加担しないならば殺すぞと言われたら僕らはどうするだろうか?その時になってみないと分からないが難しい選択だ。

というかそんな状況を作り出さない様にしていかないといけない。

ルワンダの特徴

汚職がほぼない。これは「アフリカの問題点とタンザニア」で書いた様にどこの国でも頭を悩ませている話なので、素晴らしい。

町が綺麗。首都のキガリだと犬のフンもあまりない。町の中にお掃除している人がいる。

独立したころから多くのルワンダ人は世界中に亡命しており、海外からルワンダに投資したり、ルワンダに戻ってビジネスしたりしている。

資源がない!

IT立国を目指している。最近だと丘が多いこの国において、ドローンで血液飛ばすスタートアップ、ziplineに規制緩和でOK出してる。

・・・ってシンガポールかイスラエルみたいじゃない??

前述のカガメは2000年から大統領を務めており、最近も憲法改正して長期在職出来るようになった。というのはやばいサインだ。憲法改正して在職期間延ばすのは駄目な独裁国家でありがちで、ボリビアジンバブエもそうだった。

街中で政府の批判をしてはいけないらしい。月一回奉仕活動をしないといけない時間があるのだが、大統領万歳みたいなことをやるらしい。。。

産業のメインは農業で、コーヒーと茶の生産が盛ん。また新しい街中の建物がどうにも中国の地方都市っぽい。中国人はやはり大量に進出している模様。

ルワンダ人はまじめなで控えめな印象。これが虐殺の影響で人生に暗いものを抱えていて本音が言いにくくなっているのか、元々の性質なのかは分からない。どっちの意見もあった。
でも、普通に働いていると平気で嘘つく人もいるとのこと。しかしすぐばれる嘘。これなくなってるけど食べたのだれだ?みたいな。

IT立国を目指しているということで、コワーキングスペース、KlabとFablabに行ってみた。Klabはソフトウェア、Fablabはハードウェアのスタートアップ対象である。取組としては面白いのだが、まだスタート地点かなという気がした。少し期待値を上げ過ぎていたかも知れない。

ルワンダはシンガポールやイスラエルの様になれるのか、、、僕は海がなく貿易には適していないので同じ道を辿るのは簡単ではないと思っている。しかしアフリカでは似た様な国はそれほど見当たらないので外資を呼び込めているのは事実。

虐殺の歴史を乗り越えてきて、現在ではフツかツチか民族について聞くことは禁忌となっている。ただ他のアフリカの国の人に言わせると、経済が良いうちはいいけど悪くなった時に何が起こるか分からんぞ、ということらしい。この予想をルワンダには是非覆してほしい。

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