イスラエルは国自体がスタートアップ

僕はアフリカからイスラエルに来た(直前に居たのはエチオピア)ので大都会に見えたが、ヨーロッパか、中東かで言えばここは中東。洗練されていない部分も多い。しかしアフリカとは全然違う。

近年イスラエルはスタートアップ大国として有名。個別企業だとグーグルに買収されたWazeや、インテルに買収された自動運転のモービルアイが挙げられる。

なぜイスラエルにスタートアップが多いのか??多くのイスラエル人(ここではユダヤ人)が挙げていたのが、軍の経験である。イスラエルは18歳から男3年、女2年の徴兵制度がある。曰く、ここで自分で考える素養が見につく、近隣国が敵ばかりのため、自主独立の精神が身に付く、、、とのこと。ちなみに軍に入る前に学校成績で背番号が付けられ、一番いけてる!とされているのは諜報部隊。女性は前線で働く人もいるが、人事だったり軍関連の施設だったり、後方部隊が多い。

イスラエルは軍事国家である。現在のイスラエル防衛軍の前身となるパルマッハに関するミュージアムにはイスラエルの中学校生徒がたくさん来ていた。その中に混じって色々な部屋でパルマッハとイスラエル建国に関するひと続きの映画を見た。良くできてる。そして戦意高揚がすごい。

イスラエルのユダヤ人に聞くと、軍の経験はみんな誇りに思っている。

だが、軍の経験がスタートアップを作る起業家精神に結びつくというのは僕は納得いかなかった。

それは韓国の例があるからだ。韓国も男性は約2~3年の徴兵制度がある。言うまでもなく、北朝鮮と現在も休戦中の状態だからだ。しかし韓国は少し前の日本と似ていて(両国とも徐々に変わりつつあるが)、非常に大企業志向が強い。特に韓国の代表的株価指数、KOSPI時価総額の1/4を占めるサムスンに入りたいという学生が非常に多い。2014年頃に韓国のとある財閥の御曹司が、学生は猫も杓子もサムスンに入りたがるので困る!と言っていた。

ので徴兵制度がスタートアップ創業に寄与しているというのは一因ではあるものの、全てではないだろう。

もう少し突っ込んで聞いてみると、イスラエルは軍隊であっても割とオープンな関係で、完全な上意下達ではないらしい。そして失敗を許す風土、試しににやってみる精神があるとのこと。これは確実にプラスだな。

また国自体が1948年にほぼほぼ何もないところから作られたスタートアップ国家だというのも影響していると思われる。資源もあまりないしね。ちなみに産業としてはダイヤモンドが大きく、輸出額の1/4を占める。一人当たりGDPは日本よりも少し大きい。

テバの苦境

イスラエルには旧ソ連や東欧出身の技術者が多い。実はユダヤ人の中で一番多いのは20%を占めるロシア系。

スタートアップ関連でイスラエルが強みをもつ企業は、セキュリティ、自動運転、バイオ等。特にセキュリティは軍事技術の民間転用がやり易いらしい。

またジェネリック医薬品世界最大のテバの傘下でバイオ企業が育っている。

・・・と思っていたら、テバがグローバルでワーカーの1/4を解雇するという発表を受け、2017年12/17にイスラエル全体で労組主導の反テバゼネラルストライキが行われた。この日僕はイスラエルからヨルダンのアンマンへのフライトだったが、空港も止まってしまった。。。しかし実際ストをやっていたのは午前中の二時間くらい。僕が乗るはずだったヨルダン航空は元々早朝の予定。ストを見越して乗りやすい時間に変更してくれたので、結果的には助かった。

イスラエルにおけるテバの存在感はすごい。日本で言うとトヨタ以上。今回の話は、トヨタが全世界でワーカーの1/4は解雇しますって言う様なものだから確かに反応は分からなくもない。加えてイスラエルの年金はテバを大量に組み込んでいるので、パフォーマンスが悪化しているらしい。

なぜこうなってしまったのか??テバといえば2009年頃、日本になぜジェネリックの巨大な会社が出来ないのか調べていた時に僕は存在を知った。当時はすごい会社で日本も真似すべき!と思っていた。。しかし2015年にアラガンのジェネリック事業を高値掴みして、負債が重いらしい。高値掴みの買収は、ダメゼッタイですな。

スタートアップ国家

テレアビブの街中を歩いていると、スタートアップのコワーキングスペースやインキュベーション施設を良く見かける。中国のTechcodeだったり、Weworkだったり。日本でもイスラエル投資熱が高まっているらしく、サムライインキュベートがVCとして進出したり、産業革新機構も何かやろうとしている。以前は日本は親イスラエルと見なされることによるアラブボイコット(アラブ諸国による原油含む貿易制限)を警戒していたが、最近は前回書いた通りイスラエルとアラブの関係は改善しており、あまり気にしていない。

スタートアップとは少し違うが、Iscarというバークシャーに買収された金属加工の会社がある。この会社は買収を繰り返して大きくなってきた。僕は同じ様なことは日本でも出来るのではと思っている。

イスラエルではUberが使えたのだが、僕が行った2017年12月には使えなくなっていた。変わりにGettというタクシーを呼ぶアプリ(Uberの様にタクシー免許持っていないドライバーは呼べない)を使っていたのだが、このアプリは問題があった。ラッシュ時にタクシーを全く捕まえられないのだ。困る。恐らくそこらへんの道でタクシーが拾われてしまうからであろう。

先程書いた様にイスラエルはスタートアップ国家であり、人口がひたすら増えてる。1950年時点では100万人だったのが今や875万人。そのうちユダヤ人が75%、アラブ人が20%、それ以外が5%である。ユダヤ人の中に経済格差はあるが、アラブの中の方がさらに格差がある。そしてイスラエルはとにかく物価が高い。スイスやアイスランドほどではなかったが。。。

・・・と色々書いて来たが、基本はユダヤ人に関することであり、パレスチナ人はほぼ含まれていない。パレスチナ人とはほとんど話すことが出来なかった。その点は留意する必要がある。

2+

いいね! or シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加