新興宗教(カルト)というビジネスモデル

旅行していると、宗教について聞かれることが時々ある。

「君はキリスト教徒?カトリック?」「日本だとどういう宗教をみんな信じているの?」

という感じである。
多くの日本人は、何か特定の宗教を強く信じているわけではないものの、仏教と神道の風習はなんとなく気にしているかな〜という感じでは無かろうか。少なくとも葬式は仏教に則っている人が多いと思う。仏教は輪廻転生で生まれ変わりを前提としているので、火葬されることは問題ない。

一方でキリスト教は審判の日に死者が復活することになっているので、土葬が多い。イスラム教も同様に土葬。

さて、上記の質問「あなたは神を信じていますか?」に対する僕の答えは「無宗教。神は信じていない。だが日本は仏教や神道が日常生活に組み込まれている部分があるので適宜尊重している。」となる。

この無宗教という答えは日本人以外には結構衝撃的らしい。「え?神を信じてないの??まじで???」となる。スペインでもタンザニアでもモロッコでも、この回答にはみんなびっくりしていた。
そう言えば中国はどうなんだろう、あまり宗教のイメージがないが、この議論は中国人とあまりしたことないから今度聞いてみよう。→中国行って現地で聞いたみた結果、日本とあまり変わらない傾向。もちろん神道は信じていないけど。

新興宗教(カルト)

さてここからは話が少し変わって、新興宗教(カルト)について。僕は極端な考えに興味があるので、カルトにも興味がある。自分で創設したいとも、入信したいとも全く思わないが。。。

以前の記事「アメリカ人にとっても不思議なニューオーリンズという街」にて触れた様に、終末思想が強いカルトでは悲劇的な結末を迎えることも多い。最も有名な例は900人以上が集団自殺した人民寺院事件であろう。

人民寺院事件

人民寺院(Peoples temple)とは、1955年にジムジョーンズがアメリカ合衆国インディアナポリスで創設したキリスト教系のカルト。初期は黒人を中心に支持を集めていった(ジョーンズは白人)が、途中から共産主義に傾倒し、いつしか終末思想を唱える様になっていた。

政治との結びつきも強かったが、全財産を寄付した脱会者からの訴え等が増え、批難を避ける意味合いもあり、1977年に南米のガイアナに集団で移住した。

移住先はジョーンズタウンと名付けられ、理想の共同生活を謳っていた。実際は全く自由がなく、逃亡しようとした人達や病気の人達を狭く汚い牢屋に押し込むという、ジョーンズによるミニ独裁国家であった。

加えて、来たるべき終末に備えて集団自殺の予行演習、具体的にはシアン化合物を飲む練習を繰り返していた。練習の時は勿論毒が入っていないものだが。

そして移住してから一年。1978年にアメリカのライアン議員が現地調査に来た際、とんでもないディストピアであったことが露呈。議員によるアメリカ本国への報告をストップするために、あろうことか帰国時に全員を射殺してしまった。

その日の夜、ついにジョーンズタウン、人民寺院も終わりだ・・・ということで練習通り集団自殺が決行され、900人以上が死亡した。逃げた人もいたが、逃げようとした人の大半は殺された・・・

嘘の様だが本当の話である。

カルトを立ち上げる動機

どう考えてもおぞましい事件。そんな中で僕が注目したいのは、ジムジョーンズがなぜこんなことをしたのか?ということである。僕の答えは、①権力欲、②金銭欲、③性欲を満たすためだった、である。まず、①権力欲だが、人民寺院はジョーンズを筆頭とした独裁共同体で、ジョーンズの言うことはめちゃくちゃでも、絶対であった。次に②金銭欲だが、信者の寄付によって多額の収入があった。そして③性欲だが、ジョーンズは多数の女性を囲っていた。

これは他のカルトでも当てはまる法則であろう。僕は色々な新興宗教を調べたことがあるが、強弱はあるものの上記の三つを教祖及び幹部が達成しようとしているケースが多い。

新興宗教の創設は、ある意味ではビジネスの立ち上げと言える。想定される教祖及び幹部のリターンとしては先程書いた①権力欲、②金銭欲、③性欲、を満たすことが挙げられる。一方でリスクは何か?

カルトを立ち上げるリスク

それは、レピュテーション(評判)リスクである。それも甚大な。カルトというのは10,000人存在する中から、9,999人に馬鹿にされる一方で1人から全財産を毟り取るビジネスモデルなのだ。

カルトを始めると親や友達と断絶するかも知れない、それを承知でリターンを取りに行くビジネスと言える。僕は絶対にやりたくないけれども、みんながやりたくないことには確かにリターンが存在する。

信徒に多くの財産を差し出させることが多かったり、脱退者を認めなかったり、、多くの問題を孕んでいるカルトは多い。特に終末思想を唱えたものの終末が訪れないと分かった時点において、終末を実現するために集団自殺に至る、または他者を攻撃するケースが多いのが最大の問題だと思う。

まだまだ分からないことが多かった20世紀に比べて、ある程度世の中(特に超常現象)が解明されてしまった21世紀はカルトも信者集めに苦労している様である。どのカルトも信者の高齢化が悩みの種となっている。

繰り返しになるが、僕はカルトを起業しましょうと啓蒙する気は全くないし、自分でやりたいとも思わない。世の中にもっとプラスをもたらすことをやりたい。

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